静岡 有東木(うとぎ)村の「わさび漬け」[ごちそうナビ]

目利き人の産地紀行

会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表 西尾 匠史(にしお たかふみ)
会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表。
極旨な食材をもとめて北は北海道から南は沖縄まで全国各地のこだわりの職人や名店を探求している目利き人。

静岡 有東木(うとぎ)村の「わさび漬け」

わさび発祥の地に、日本最古の専業農家を訪ねる

 静岡の市街地から1時間ほど、安部川沿いに奥山へと分け入っていくと、山葵棚と茶畑に囲まれた有東木(うとぎ)村に辿り着く。山葵といえば伊豆の天城が名高いが、実は有東木こそが山葵栽培発祥の地。今から400年前の慶長年間、山に自生する山葵の苗を村に持ち帰り、湧水地に植えたのが始まりとのこと。今でも村には70軒ほどの山葵農家が点在し、その歴史を守っていた。

 この地で山葵を育てる白鳥義彦さんは、なんと十七代目。有東木でも最も長い歴史を誇る、要するに日本最古の山葵専業農家である。その白鳥さんの山葵田に案内していただくと、白く小さな花のお出迎え。アブラナ科の山葵は、菜の花同様、春になると可憐な花を咲かす。

 「山葵は、芋(根)だけでなく、花や葉、茎にも香りや辛みがあって美味しいんですよ。実際、捨てるのはヒゲ根くらいですね」と白鳥さん。

その言葉に誘われ、厚みのある葉を一枚摘み取り口に運ぶ。ほのかな辛さを感じるも、特有の苦みにかき消され、いまひとつ…、「そりゃ、生のまま食べるもんじゃありませんから。塩揉みして、さっと湯がくと苦みが消えて辛さと香りが際立つんです」。苦笑いしながら、山葵を力強く引き抜く白鳥さん。

立派に太った山葵の芋、泥を洗い落として少しかじれば、爽やかな辛みの中に豊かな香り…、そして、意外なことにほんのりとした甘みが広がった。最近は、手軽に栽培できる早生品種が増えているそうだが、辛さ・風味が増すのは1年を越してから。白鳥さんは、1年半かけてゆっくりと育てると云う。それが故の風味と甘さなのであろう。
 

 さて…、地元の人たちはこの山葵をどのように食べているのであろうか。場所を白鳥さんの自宅に移し、試食をさせていただく。登場したのは、お馴染み「わさび漬け」。刻んだ茎のシャキシャキとした食感が心地よく、しっかり辛みのある山葵と、酒粕の上品な甘さのコントラストが何とも絶妙。これを酒の肴や料理の薬味にするという。おススメは、海苔で巻いた磯辺巻きと、蒲鉾は無論、肉料理に添えて。ステーキにも、少し甘めの焼き豚にのせて…、爽やかな辛さが濃厚な肉の旨みを引き締め絶品であった。

 「他にも、山葵の茎を塩昆布と漬けたものや、三杯酢に漬けたもの…。刻んだ山葵の茎を味噌に混ぜ、お粥や焼鳥にのせたりもしますね」。なるほど、山葵を知り抜いた農家さんの言葉に納得。いずれも旨そうだ。ここで、先ほど抜いたばかりの茎と葉で作ったお浸しが出てきた。シャキッと食感良く、ツンとした特有の辛みと豊かな香り…、生食した時の苦みも無く、春らしい爽やかなお浸しに仕上がっていた。確かにこれならお酒もすすむであろう。

 不思議なことに、山葵は一切肥料を必要としない。大地から湧き出る清浄なる水と澄んだ空気を糧にして成長するのだ。豊かな自然に恵まれ、農家さんに見守られながらゆっくりと辛さを蓄えた有東木の山葵…、その爽やかな風味を閉じ込めた地の料理は、やはり格別であった。

 

この食材に関する問い合わせ先

株式会社築地魚河岸やっちゃば倶楽部

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FAX:03-3542-0230

 


公開日[2008/05/15]

筆者プロフィール
1996年築地魚河岸やっちゃば倶楽部設立。 築地市場の新鮮な食材をお客様に代わって目利きし、お届けする会員制カタログ通販「築地倶楽部」を運営する。取扱う商品は、築地市場で仕入れた生鮮食材を中心に、全国の職人が作る逸品料理、調味料まで合わせて約1,200品目。 美味しい話は山ほどあれど、本当に旨いもんは、ほんの一握り。自分の舌で確かめて「旨くなければ掲載しない」という築地倶楽部の番人。 マスコミに取り上げられた人気商品も、あっさり取り下げてしまうこともしばしば。

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