静岡 駿河湾の「桜海老」[ごちそうナビ]

目利き人の産地紀行

会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表 西尾 匠史(にしお たかふみ)
会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表。
極旨な食材をもとめて北は北海道から南は沖縄まで全国各地のこだわりの職人や名店を探求している目利き人。

静岡 駿河湾の「桜海老」

富士川の河川敷に現れる、巨大な桜色の絨毯

 富士川の河川敷が一面桜色に染まる頃、駿河に本格的な春が訪れる。河川敷ではわずか3cmほどの駿河湾名物、小さな桜海老が網の上に広げられ、春の日差しで素干しにされていた。
聞いてはいたが、人工的では無い自然なピンク色に染まったその光景は圧巻。雲ひとつなく晴れ渡ったこの日、朝7時から河川敷に敷き詰められた桜海老は、昼過ぎには半透明に干し上がり、地元のお母ちゃん達が熊手でかき集め箱詰めにしていく。
その目を盗み、小さな海老をつまみ食い…、香ばしさとともに、太陽の恵みを受けて凝縮した海老の旨みが口いっぱいに広がった。「干したては旨いもんでしょ」と云う、おばちゃんの得意気な表情…、やはり自慢の特産品なのである。

 そんな桜海老だが意外にも歴史は浅く、漁が始められたのは明治の終り頃。漁師さんが誤って海の底まで網を沈めてしまったところ、大量の紅く透き通った小海老が掛かったそうだ。「災い転じて福となす」、こうして桜海老の存在が知られるようになったのである。
当初は、“エビッカ”(海老のカス)と呼ばれていたこの海老に、「桜海老」の名を与えたのが、由比町の望月仙吉さん。“カス”と“桜”では大違い…、人気の桜海老も、仙吉さんの命名がなかったら、まったく別の扱いを受けていたのかもしれない。
 

 その仙吉さんの血を受け継ぐ、四代目の由喜男さんに美味しい食べ方をご指導いただいた。
「刺身なら、生姜醤油でコクのある甘みを楽しんでもらいたいね。でも、一番の華は、やっぱりかき揚げだな。家で作るんなら、ザルにあげた桜海老に水をかけ、直に粉を振って混ぜちゃえばいい。後は160〜70度の油で揚げるだけ。簡単だよ」。

漁師らしい豪快なレシピで揚げれば、桜海老の香ばしくも豊かな風味と旨みが際立った。なるほど、「桜海老はかき揚げ」との言葉も納得の旨さ。高級な天麩羅屋の繊細さには欠けるが、新鮮な桜海老の味わいを楽しむならこれで十分。もちろん、塩水で茹でた「釜揚げ」もいい。そのまま大根おろしと醤油で食べたり、玉子焼きやサラダに加えたり、酢の物にしても、桜海老の美味しさをしっかり楽しめる。

 でも…、今回の私のおススメは、「桜海老の素干し炒り」。フライパンで軽く炒って、仕上げに鍋肌に醤油をたらし、七味をふりかけるだけなのだが、これが抜群に酒と合う。その香ばしさと旨みに思わず手も止まらず、酒がすすむのである。熱を加えることで、旨みが一段とアップするのだろう。お好み焼きや焼きそばにも、一度から煎りした桜海老を使うと、普段の味とはひと味もふた味も上に仕上がるのでお試しあれ。

 なりは小さいが、料理の中で圧倒的な存在感を見せてくれる桜海老。乱獲を防ぐため、漁が行われるのは春と秋だけ…、
船が出るのは年間を通して、わずか40日ほどだと云う。
駿河に春を告げる貴重な旬味、様々な料理でご堪能いただきたい。

 

この食材に関する問い合わせ先

株式会社築地魚河岸やっちゃば倶楽部

http://www.tsukijiclub.com/

e-mail:info@tsukijiclub.com

TEL:03-3542-0015

FAX:03-3542-0230

 


公開日[2008/04/7]

筆者プロフィール
1996年築地魚河岸やっちゃば倶楽部設立。 築地市場の新鮮な食材をお客様に代わって目利きし、お届けする会員制カタログ通販「築地倶楽部」を運営する。取扱う商品は、築地市場で仕入れた生鮮食材を中心に、全国の職人が作る逸品料理、調味料まで合わせて約1,200品目。 美味しい話は山ほどあれど、本当に旨いもんは、ほんの一握り。自分の舌で確かめて「旨くなければ掲載しない」という築地倶楽部の番人。 マスコミに取り上げられた人気商品も、あっさり取り下げてしまうこともしばしば。

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