お酒の限定流通のゆくえ[ごちそうナビ]

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名酒センター代表 月刊ビミー編集長 武者 英三(むしゃ えいぞう)
酒屋独創塾顧問。訪問した蔵は1000蔵以上、呑んだ酒は星の数に匹敵、プロデュースした酒は多数。旨い日本酒を飲みましょう。

お酒の限定流通のゆくえ

 酒販業界での「限定流通」という言葉が定着しつつある。一般にお酒の流通は蔵元→酒類問屋→酒販店→料飲店または消費者という流れになるが、この30年ほどの間に流通の変化は激しく動いてきた。
NB(ナショナル・ブランド)清酒の流通についてはそれほどの変化はまだ見られないが、地方のいわゆる「地酒」と称される蔵元にとっての変化は激しい。

 

 とくに20数年前から起こった地酒ブームによって首都圏の需要は急激に高まっていった。日本酒販売に力を入れる酒販店のその意欲は年々高まるばかりだった。従来の酒類問屋に取扱いを頼んでも即対応が出来ない。ならば蔵元に直接発注して商品を発送してもらう、いわば酒類問屋なしの“中抜き”が習慣化していった。「蔵元直送直取引」である。

 

 これによって酒類専門店での地酒の取扱いは大幅に増え、一部有名銘柄の品薄状態はあるものの料飲店や消費者の需要に見合った流通形態が確立していった。酒類専門店にしてみれば、酒類問屋から仕入れた商品はいくら自店で一所懸命育て販売したところで、ライバル店でもその銘柄を取扱ってしまえば店の差別化にならない。蔵元直送直取引なら競合する店に流さないという約束を取り付ければ、育てがいが出てくる、というわけだ。

 

 とはいっても蔵元にしてみれば一定の量が捌けなければ販路をさらに拡大しなければならない。販売力を持った酒類専門店はこれに飽き足らず、グループ化を図って銘柄の囲い込みなども行なうようになってきた。またグループ化まではしなくとも取扱い店をさらに絞り込んで、わずかな酒類専門店のみで育て販売する、といった形態も登場してきた。これが「限定流通」の典型的な形態である。

 

 いずれにしてもこうした銘柄の対象となる酒質は小仕込みのお酒に限られてくる。つまり量は極めて少量だ。元々、蔵の規模も小さい場合が多い。うまくツボにはまればすぐ品薄状態になっていく。「需要に追いつかず、足りない、足りない」となって、うがった見方をすれば人気をあおる事も可能だ。現実に市場でそうした銘柄を見かける事もある。

 

 今後、この限定流通はさまざまな形態をとりながら進化していくに違いない。蔵元数は減少傾向にあるものの、それでも全国に1200場以上の数にある。しかもその80%以上が中小規模の蔵だ。恐らくインターネットの普及、加速によって消費者をも巻き込んだまったく新しい流通が誕生してもいくだろう。すでにウェブ2.0の世界では、異業種ではあるが予想以上のスピードで新しい流通が誕生しつつある。つまり、“情報革命”によって流通は大きく変化する。

 

 この情報革命がさまざまな分野に伝播していった時、酒類販売免許という特殊な業種である酒販業界のみは例外、なんていう事態は考え難い。新しい流通の誕生を想定しておかなければならないと思う。


公開日[2008/03/19]

筆者プロフィール
週刊誌記者を経て酒類・食品のマーケティングに従事し、株式会社ヤングマーケティング研究所を設立、代表に就任する。東京・浜松町、日本酒PRのための店「名酒センター」代表、兼消費者向け酒の情報誌「月刊ビミー」編集長。(http://www.bimy.co.jp/) 他にセミナー講師、イベント企画プロデューサーでもある。 訪問した蔵は1000蔵以上、呑んだ酒は星の数に匹敵。プロデュースした酒は「黒牛」「瀧澤」「巻機」「本洲一」「田むら」「十五代九郎右衛門」「謙信」「男一心」と多数。

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