長崎 高野屋の「からすみ」[ごちそうナビ]

目利き人の産地紀行

会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表 西尾 匠史(にしお たかふみ)
会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表。
極旨な食材をもとめて北は北海道から南は沖縄まで全国各地のこだわりの職人や名店を探求している目利き人。

長崎 高野屋の「からすみ」

300年以上の長きに亘り、守り伝えられてきた天下の珍味。

 江戸の頃、異国との窓口であった長崎の出島。その食文化は、他国の影響を色濃く残す。カステラや豚の角煮など、すっかり長崎名物となっているが、元を辿れば、すべてポルトガルや中国から伝わったものである。

 

 今回ご紹介する「からすみ」も、その一つ。はるか遠く、イベリア半島で作られるヴォッタルガが、シルクロードを通って伝わり、日本の“からすみ”になったと聞く。
当初は、サワラの卵が使われていたとされるが、1675年、長崎で魚屋を営んでいた高野勇助なる人物が、ボラの卵で作り始めた。これが、現在の“からすみ”の始まり。以来、その製法は、高野家で脈々と受け継がれ、今も13代目の高野昌明さん、そして次期当主の正安さんが大切に守る。

 

 正安さんに、からすみ作りの様子を見せていただくことになったのだが…、そこは、ご主人の自宅を兼ねた作業場。
「朝から晩まで、つきっきりで面倒を見なければならないから、自宅に工房があるんです…、というより、工房に寝泊りしているって感じですかね」と、正安さん。
ボラの卵を樽の中で塩漬けにすること1〜2週間。丸1日、水に晒し塩を抜いてから、一腹一腹、針を使って細かい血管や筋を丁寧に取り除く。形を整えて1日寝かし、最終工程の天日干しに入るのだが、ここからがまた大変。まんべんなく天日が当るよう、2時間おきに表裏を返したり、場所を移したり…、干しあがるまで1週間、本当につきっきりのお世話なのだ。
しかし、これほどの手間をかけたからと云って、納得の行く“からすみ”に仕上がるのは数少ないと云う。
「からすみは見た目も大切。姿・色・艶、全てが揃わなければならないのです」。
原料に少しでも切れ目があったら駄目、天気が悪くとも色艶が悪くなる…、高価なことにも頷けた。


 完成した“からすみ”は、べっこう色に輝き、食べるのがためらわれるほどに美しい。3?ほどに薄くスライスし、少しかじる…。ねっとりと滑らかな食感、ほど良い塩っ辛さとともに、濃厚な旨みが染み出す。その深い味わいを逃さぬよう、お酒にくるみ、スルスルと喉奥へ落していく…、左党には堪らない一瞬であろう。

 

 私の密かな楽しみは、料理の素材として贅沢に使うこと。桐箱入りの高価な正品は、恐れ多くてとても使えないが、形や色の悪い「切れ子」ならば値段も手頃。削って「パスタ」に加えれば、味わいの厚みが増し、プロ顔負けのイタリアン。ほぐして白胡麻や細切昆布と合わせ、「お茶漬け」で楽しむってのも…、じつに贅沢至極。

 

 300年以上続く製法で、大切に作られる元祖の“からすみ”。その味わい深き名品を、まずはお気に入りのお酒と一緒に、そして料理に…、余すことなく楽しみたいものである。

 

この食材に関する問い合わせ先

株式会社築地魚河岸やっちゃば倶楽部

http://www.tsukijiclub.com/

e-mail:info@tsukijiclub.com

TEL:03-3542-0015

FAX:03-3542-0230

 


公開日[2008/03/10]

筆者プロフィール
1996年築地魚河岸やっちゃば倶楽部設立。 築地市場の新鮮な食材をお客様に代わって目利きし、お届けする会員制カタログ通販「築地倶楽部」を運営する。取扱う商品は、築地市場で仕入れた生鮮食材を中心に、全国の職人が作る逸品料理、調味料まで合わせて約1,200品目。 美味しい話は山ほどあれど、本当に旨いもんは、ほんの一握り。自分の舌で確かめて「旨くなければ掲載しない」という築地倶楽部の番人。 マスコミに取り上げられた人気商品も、あっさり取り下げてしまうこともしばしば。

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