飛騨母袋(もたい)村「燻(いぶ)り豆腐」[ごちそうナビ]

目利き人の産地紀行

会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表 西尾 匠史(にしお たかふみ)
会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表。
極旨な食材をもとめて北は北海道から南は沖縄まで全国各地のこだわりの職人や名店を探求している目利き人。

飛騨母袋(もたい)村「燻(いぶ)り豆腐」

平家の落人によって伝えられた、雪国の豆腐。その味わいは、和風スモークチーズ…!?

高山から峠の雪道を車で走ることしばし…。標高800m、周りを険しい山々に囲まれた山村に辿り着く。その昔、平家の落人が住み着いたと云われる岐阜の母袋(もたい)村である。

ここに、その落人によって伝えられたと云われる豆腐があると聞いた。それは、山村独特の堅豆腐を囲炉裏の煙で燻した「燻(いぶ)り豆腐」なるもの。深い雪に閉ざされるこの地ならではの、貴重な冬の蛋白源である。雪のちらつく中、唯一昔ながらに伝統の味を守る、筧政之助さんを訪ねた。



「一昔前まで道路なんて無くって、周りには獣道のような山道だけ」と、ご主人。

当然、新鮮な食材などは手に入れることもできず、豆腐と云えば日保ちのする堅豆腐のみ。

その堅豆腐を燻した“燻り豆腐”は、冠婚葬祭やお正月だけにほんのちょこっと食べさせてもらえる高級食材だったそうだ。

「何しろ、プルンと柔らかい豆腐を見たのは、大人になってから。道路網の整備が進むと、ここらでもいとも簡単に柔らかいお豆腐が手に入るようになった」…、文明とは皮肉なものでもある。

それまで当たり前のように作られていた燻り豆腐が、次第に姿を消していったことは想像に容易い。美味しくて、保存食としても優れた “燻り豆腐”…、ならばと、ご主人が孤軍奮闘、郷土の味を残そうと努力しているというわけだ。


その作り方はというと…、まずは高山の湧水と天然にがり、そして通常の3倍もの大豆を使い、ずっしりと重い堅豆腐を作る。

これだけでも十分に旨いのだが、伝統の味までは、まだ道半ば。

この豆腐を地の群上味噌に漬け込むここと一晩、今度は表面を乾かし、最後に桜のチップで燻してようやく完成。水分を飛ばし、煙で燻され、麻黄色に染まった堅豆腐も、包丁を入れれば豆腐らしい白い姿を見せる。その濃淡のコントラストも、旨さを感じさせてくれる。

ぎゅっと締まった豆腐はしっとりと歯応えがあり、味噌の風味とほのかな桜の薫香…、大豆の存在をほのかに感じさせる、ややあっさりとした味わい…、これって豆腐?…、和風のスモークチーズ?

多分、後者の方が適切な表現であろう。伝統食につきものの特有のクセもなく、まったくもって食べやすい。

初めて体験した美味しさに、自然とお酒が恋しくなる。

豆腐とも、チーズとも表現できるこの和洋折衷の味わいに合うお酒…、熱燗は云うまでも無いが、私のおススメは赤ワイン。それも樽熟成のボルドーあたりか…。

供し方

700年以上の昔、雪深き日本の山里に生まれた伝統の味に、フランス伝統の赤ワインを合わせて提供してみたい。
意外な取り組み合わせは、美味しさと一緒に、ほんのちょっとの驚きを与えるだろう。古の飛騨山中に想いを馳せつつワイングラスを傾けるのも悪くない。

この食材に関する問い合わせ先

株式会社築地魚河岸やっちゃば倶楽部

http://www.tsukijiclub.com/

e-mail:info@tsukijiclub.com

TEL:03-3542-0015

FAX:03-3542-0230


公開日[2008/02/14]

筆者プロフィール
1996年築地魚河岸やっちゃば倶楽部設立。 築地市場の新鮮な食材をお客様に代わって目利きし、お届けする会員制カタログ通販「築地倶楽部」を運営する。取扱う商品は、築地市場で仕入れた生鮮食材を中心に、全国の職人が作る逸品料理、調味料まで合わせて約1,200品目。 美味しい話は山ほどあれど、本当に旨いもんは、ほんの一握り。自分の舌で確かめて「旨くなければ掲載しない」という築地倶楽部の番人。 マスコミに取り上げられた人気商品も、あっさり取り下げてしまうこともしばしば。

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