新潟村上「鮭の酒びたし」[ごちそうナビ]

目利き人の産地紀行

会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表 西尾 匠史(にしお たかふみ)
会員制宅配サービス「築地魚河岸やっちゃば倶楽部」代表。
極旨な食材をもとめて北は北海道から南は沖縄まで全国各地のこだわりの職人や名店を探求している目利き人。

新潟村上「鮭の酒びたし」

べっこう色に輝く、至宝の酒肴

酒呑みには、一度口にすると忘れえぬ酒肴があると云う。その一つに新潟県の村上で出会った。それが、江戸時代より、この地に伝わる「鮭の酒びたし」。三面川(みおもてがわ)の注ぎ込む村上は、江戸時代に栄えた小さな城下町。宝暦年間(1750)には早くも鮭の放流を始め、藩の財政をその漁で賄ったと云われる鮭の町である。

 

川に遡上を始め、餌を食べないオスの鮭は、両顎が鋭く曲がり、獰猛な顔つきとなる。“鼻曲がり”の所以である。秋鮭漁真っ只の村上に入ると…、目に飛び込んでくる軒先に吊るされた鮭、鮭、鮭。“寒風干し”なる独特の製法で、名物の「塩引き鮭」や「鮭の酒びたし」を作っているのだ。

創業200年、村上藩の時代から続く老舗の鮭屋を訪ねた。若旦那に案内された店の奥では、その日揚がったばかりの秋鮭を捌き、「塩引き鮭」の仕込みの真っ最中。お腹をきれいに掃除した鮭をたっぷりの塩でみがき、一週間塩を抱かせて寝かた後、一日中水で洗い流して塩を抜く。塩漬けをして塩抜き…、それが「塩引き」の所以。そして仕上げに、軒先に吊るして日本海の寒風にさらして乾かす。これが「寒風干し」の所以。順序は逆だが、まるで昔ながらの沢庵のような製法である。

 

その塩引き鮭を一切れ焼いてもらった。

干すことで旨みをまとった薄紅色の鮭は、どこか懐かしさを感じさせる塩加減…、ご飯との相性は絶妙だ。塩が薄く味も素っ気も無い今時の塩鮭とは明らかに違い、しっかりと塩が効いているのだが、決して塩っ辛くはない。まさしく旨い昔ながらの塩鮭である。

べっこう色に輝く、村上至宝の酒肴「鮭の酒びたし」

続いては真打ち、べっこう色に輝く「鮭の酒びたし」を賞味。“鼻曲がり”と呼ばれる、川に遡上を始めたオスの鮭が適していると云う。

製法は先ほどの塩引き鮭と同じ、ただし寒風に晒す期間が異なる。干したまま、ひと冬、ひと春越させ、ゆっくりと、ゆっくりと熟成、乾燥…、夏の声を聞く頃、ようやく自然まかせの燻製のごとく仕上がるのだ。そのどす黒く、固く締まった身を薄く切ると、べっこう色に輝く鮭の身が現れる。千切りの生姜を添え、酒処・新潟の旨い日本酒をひたひたにふりかけて食す。なるほど、その名の通り「鮭を酒浸し」にして楽しむというわけか。

一切れ口に入れて、熱燗をちびり…、噛むほどに染み出す凝縮された深い旨み、思わずそれを酒で洗い流せば、尽きない旨みがまた酒を呼ぶ。浸した日本酒が余計なクセを取り、濃く深い鮭の旨みだけが鼻に抜けていく。こんなにも酒を呼ぶ肴と出会ったのは初めて。100を超すと云う村上伝統の鮭料理、中でも最高傑作と呼ぶに相応しい逸品である。「鮭の酒びたし」…、私にとっても、忘れえぬ肴となってしまった。

供し方

薄切り4〜6切で一人前。

千切り生姜を添え、日本酒をふりかけて供する。

お好み用に、レモンを添えれば女性にも食べやすいだろう。

新潟の地酒に合わせて、新潟の誇る本格派の酒肴をメニューに入れてみては。

この食材に関する問い合わせ先

株式会社築地魚河岸やっちゃば倶楽部

http://www.tsukijiclub.com/

e-mail:info@tsukijiclub.com

TEL:03-3542-0015

FAX:03-3542-0230


公開日[2007/12/13]

筆者プロフィール
1996年築地魚河岸やっちゃば倶楽部設立。 築地市場の新鮮な食材をお客様に代わって目利きし、お届けする会員制カタログ通販「築地倶楽部」を運営する。取扱う商品は、築地市場で仕入れた生鮮食材を中心に、全国の職人が作る逸品料理、調味料まで合わせて約1,200品目。 美味しい話は山ほどあれど、本当に旨いもんは、ほんの一握り。自分の舌で確かめて「旨くなければ掲載しない」という築地倶楽部の番人。 マスコミに取り上げられた人気商品も、あっさり取り下げてしまうこともしばしば。

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